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2022年最後の取引となる「大納会」を迎えた12月30日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は前年末比9・4%安の2万6094円50銭となり、米中貿易摩擦の影響があった平成30年以来、4年ぶりに前年末を下回った。年間の高値と安値の幅は4614円に達した。ロシアのウクライナ侵攻や、米欧の中央銀行による金融引き締めなど、1年を通じて海外発の要因に振り回された。
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2023年の株価に大きな重しとなりそうなのが、世界的な景気後退懸念だ。米欧の主要中央銀行による急ピッチな金融引き締めの影響で、米欧は0%台の低成長が予想される。4%台の成長が見込まれる中国も新型コロナウイルスの感染が急拡大する。再びロックダウン(都市封鎖)など厳しい行動制限措置を取るようになれば、世界経済の足を引っ張ることになる。
「米国が利下げを始めるのは2024年以降になりそうだ。それまでは米国の金融政策は世界経済にマイナスに働くだろう」。岡三証券の松本賢エコノミストは米国が依然として高インフレの状態にあるとして、金融引き締め局面がしばらく続くとの見方を示す。
米国の政策金利の引き上げ幅は12月に0・5%となり、それまで4回連続で行われた0・75%ペースからは縮小した。それでも、金利が高い状態が続けば、世の中に出回るお金の量が減り、景気は冷え込む。
欧州はエネルギー価格の高騰が深刻で、さらに厳しい高インフレが続く。ロシアによるウクライナ侵略もいまだに収束がみえず、暗い影を落とす。
経済協力開発機構(OECD)によると、米国とユーロ圏は2023年の経済成長率が0・5%にとどまる見通し。中でも英国やドイツはマイナス成長が予想される。
中国経済は4・6%の成長が見込まれる。大和総研の斎藤尚登主席研究員は「中国政府は12月に入ってゼロコロナ政策から転換し、経済を最優先している」と指摘する。ただ、足元では感染者数が急増し、下振れリスクを抱える。不動産市場はバブル崩壊の様相も強まっている。
一方、日本は1・8%と緩やかながらも主要国の中ではトップの成長が見込まれる。ただ、海外の景気が減速すれば、日本企業の生産や輸出に影響を及ぼすのは必至だ。
後藤茂之経済再生担当相も「海外景気の下振れが、わが国の景気を下押しするリスクとなっている」と警戒感を緩めない。
筆者:根本和哉(産経新聞)